パレスチナ市民に対する攻撃の即時停止を求める声明

 

10月7日のハマスの襲撃の後、イスラエルは報復として、ガザに対し無差別爆撃を続け、大規模な地上侵攻を準備しています。10月29日現在、すでに8000名を超えるガザの市民、とりわけ多くの子どもたちが殺傷される深刻な被害を生み出しています。

 

このような暴力の激化と人道的危機の深刻化を深く憂慮し、国際人道法に則って、人権、人道にかかわる国際的規範が遵守されることを求めます。「自衛権」の行使の名の下で市民、とりわけ子どもたちを無差別に殺し傷つけることをイスラエルは正当化することはできません。私たちは、即時停戦、人質の解放、ガザに対する軍事封鎖の解除、電気・水の供給、食糧・医薬品等の搬入の保証を求めます。

 

元々、パレスチナは、多様な民族の、宗教も異なる人々が共存していた地域です。第二次世界大戦後、イスラエルの建国によって、多くのパレスチナ人がその地から追われ難民となっている状態が現在も続いています。多くが難民であるガザの人々は、フェンスや壁に囲まれた逃げ場のない狭い地域に押し込まれ、度重なる空爆によって苦しんできました。ガザが世界一の「天井のない監獄」と言われる状況にあることは広く知られています。軍事封鎖により発展の権利を侵害され、経済的に立ち行かないため、人々は失業と貧困を強いられています。

ガザと東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の双方において、パレスチナ人は、ジェノサイドと言うべき殺戮から解放され、安全に暮らす権利が保障されなければなりません。被占領地の住民の保護、占領地への入植の禁止等を定めた国際人道法の遵守と共に、パレスチナにおける長年にわたるイスラエルの占領と軍事封鎖の歴史的検証が必要です。

 

私たち「女性・戦争・人権」学会は、設立当初より、日本軍「慰安婦」問題=日本軍性奴隷制問題を学術的に研究してきました。日本政府に対しては、日本軍「慰安婦」問題の法的責任を認め、過去の日本が国家として行った犯罪について、歴史的な検証を経て、その問題と責任の所在を明らかにするよう求めてきました。戦争や軍事化による性暴力の被害を受けてきた女性の尊厳の回復を求め、国際社会における人権規範の深化に寄与する研究を行う学会としては、中東における現在の紛争も、その根本原因である歴史的文脈を明らかにし、軍事力に依るのではなく、人権の国際規範に基づいた平和的手段による解決を求めます。

 

2023年10月30日 「女性・戦争・人権」学会


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