ロシア軍のウクライナへの侵攻に対する抗議声明

 

2022 年 2 月 24 日に開始されたロシア軍のウクライナへの侵攻は、即時停止を求める国際世論の高まりにもかかわらず、現在も続き、子どもたちを含む一般市民を巻き込み、深刻な被害を生み出しています。

 

第二次世界大戦の膨大な犠牲を経験した国際社会は、戦後、国際連合を設立しましたが、冷戦構造下、米ソの対立のもと、世界各地で武力紛争が引き起こされ、戦禍がやむことはありませんでした。戦争の世紀といわれた20世紀末、ソ連の崩壊により、冷戦は終わったといわれながらも、未だに、核保有国の大国のパワーの枠組みは支配的なまま、軍事同盟や軍拡競争が強化され、軍事的な介入の脅威はなくなっていません。しかし、どのような状況であれ、今回のロシア軍のウクライナ侵攻は、武力行使及び武力による威嚇の禁止を明記している国連憲章、国際法の基本原則に反した侵略行為であり、第二次世界大戦以降、国境を越えた世界の市民運動による平和構築に向けた不断の努力を踏みにじるものです。

 

かつて日本も、富国強兵を目指し、アジア各地を侵略し、傀儡国家「満州国」を作り、国際連盟を脱退し、第二次世界大戦へと突入していった歴史があります。しかし、多大な犠牲を払って得た戦争放棄という理念に基づく憲法を有する日本の戦後社会において、このウクライナ危機に乗じて、憲法 9 条を廃止し、核には核をという核兵器共有や使用を辞さないとする一部の政治家たちの主張や動きがあることを見逃すことはできません。

 

私たち「女性・戦争・人権」学会は、設立当初より、日本軍「慰安婦」問題=日本軍性奴隷制問題を学術的に研究してきました。日本政府に対しては、日本軍「慰安婦」問題の法的責任を認め、過去の日本が国家として行った犯罪について、歴史的な検証を経て、その問題と責任の所在を明らかにするよう求めてきました。戦争や軍事化による性暴力の被害を受けてきた女性の尊厳の回復を求め、社会における人権規範の深化に寄与する研究を行う学会としては、今回のロシアによるウクライナ軍事侵攻に対し、ロシア軍が即時に、無条件に、完全にウクライナから撤退することを要求します。同時に、全ての関係国に対して、平和的手段による解決に徹することを切望します。そして、反戦、平和の声をあげるウクライナ、ロシア、さらには世界中のあらゆる人々と連帯することを表明します。

 

2022年3月23日 「女性・戦争・人権」学会

 


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